2005年10月22日
元日本兵に中国の若者が出会った
ピンボケですが、交易会
会場の様子。ここは
家電メーカーが集まった
フロア。
前回のつづき。
Tさんとのお仕事ではいろいろ印象深いことがあった
のだが、ハイライトは2日目の夜。
中国の某大手家電メーカーA社との商談がまとまり、
海外事業部マネージャーのトウさんと、部下の趙さん、
Tさん、私の4人で食事に行ったときのこと。
交易会は中国の企業にとって絶好の商機であるため、
各社ともエース(もちろん英語ペラペラ)を送り
込んでいるのだが、28歳にしてマネージャーという
スピード出世をしているトウさんは中でもピカイチ
の切れ者だった。
日本の社会、経済事情もよく勉強していて、Tさんへの
質問も鋭いものばかり。
話が盛り上がっているわれわれのテーブルのそばには
テレビがあったのだが、夜のニュースの時間になって、
タイミング悪く小泉首相の靖国参拝のニュースが
始まった。
うう、気まずい雰囲気。。
いつものことだが、この手のニュースは異常に長い。
なかなか次のニュースへ進まず、だらだらやっている。
トウさんはテレビには気がつかない振りをして、話を
続けようとしてくれるのだが、Tさんの方がじっと
テレビを見ている。
そしておもむろに口を開いた。
「僕らは騙されたんだ。日本とアジア全体のため
だって信じこまされて兵隊に行ったんだ。
僕の友達だって何人も特攻隊で死んだんだよ。まだ
16,7歳だったのに。戦争はじめたやつは死刑になった
ってこの罪は償えないよ。ごめんじゃすまないよ。
兵隊に行った人間は皆こう思ってるはずだ」
トウさんと趙さんの日本語は片言レベルなので、
Tさんの言ったことはほとんどわからなかったと
思うが、口調で大体のニュアンスは通じたのだろう、
二人ともびっくりした顔をしていた。
20代の彼らが、元日本兵の言葉を聞いて何を思ったか
は分からない。
「『ごめんじゃすまない』はこっちのセリフだ」と
思ったかも知れない。
ただ、中国人の中には日本人は好戦的な民族だと
信じている人が少なくない。
温厚を絵に描いたようなTさんを目の前にして、
実際には、ごく一部の人間が戦争を始めたので
あって、多くの人は強制的に徴兵されたのだと、
思い至ってくれただろうか?
前回の記事でも少し触れたが、Tさんは日中国交
回復前の、1977年に政府の代表団の一員として
北京や天津を訪れたことがあるのだそうだ。
Tさんたちが北京の王府井を歩くと、外国人が珍しい
ので、後ろから人民服の人々が千人単位で後から
ぞろぞろついてきたという。
国賓待遇のTさん達一行には、ガードマンがぴったり
ついていて自由に見て回ることはできなかったが、
それでもホテルに戻ると、日本語を勉強している
学生とその先生が待っていて話しかけられたりした
という。
日中間に国交がない時代に、日本語を勉強している
学生がいたとは!しかも文革終了間もないころで、
日本語を勉強して将来何かの役に立つという見通し
があったとは考えにくい。純粋に日本に興味が
あって勉強していたのだと思う。
よく言われることだが、終戦から30年後のこの頃
の方が、60年たった今よりも反日感情は薄かった
のではないか。
中国の反日感情に対して「60年も前のことを
何もいまさら」と思う向きもあるだろうが、
(私も中国に来る前はそう思っていた)
実は時間が経って事実を知る人が減ったからこそ
怖いのだと思う。
事実を知らない者は、操作された情報を簡単に
信じてしまうからだ。
Tさんのような人がまだ生きている間にわだかまりを
解決しないと、ずっと何かがひっかかったままに
なってしまうかも。。
といって具体的にどうしたらいいのか、私に
アイデアがあるわけではないのだが。。
交易会で盛り上がっているのは出展社とバイヤーだけでは
ありません。次回は広州の意外なところで盛り上がっている
人々の話。
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くださった皆様、ありがとうございます。
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これが次なる悲劇の導火線とならないことを祈るのみです。
この記事を中国BLOG記事アーカイブプロジェクトに推薦させていただきました。
http://www.chinawalkers.net/modules/weblog/details.php?blog_id=89
英国では最近原爆投下の実際を放送したらしく、「なんでこんなことされたのに日本とアメリカは仲がいいの?」とメル友に聞かれました。「そう言われればそうだよね」とは思いつつ、多分こうかな、ってところをお返事しておきましたが。
色々考えさせられるエントリをありがとうございました。
なんてお伝えしても、「そんなものじゃない!」とお怒りになられるでしょうか・・
それにしても、16,7歳で特攻隊なんて、残酷すぎますよね。小泉首相は、靖国神社には正装でいくべきだ、と思いました。
日本の代表として首相と外相がサインしたんだから、小泉も田中みたいに首相辞めたらいけばいいじゃんて思う。
それからうちの祖母の話だと、その他多くの日本国民だって当時は日本が戦争したらどこにも負ける筈ないって雰囲気だったらしいです。アメリカだってケチョンケチョンにやっつけることができると本気で思ってたみたいだし。
だとしたら国民だって責任があったと思う。
だって毛沢東と周恩来は、日本国民も被害者だって思ったから賠償請求しなかったんだから。
何でもかんでも日本のせいにされるのはムカつくけど、靖国問題に関してはほんと毎回馬鹿やってて、年中行事とはこのことだと恥ずかしくなってきます。
ワタシ個人的な意見は、小泉さんよりも団体で参拝する会に参加しちゃってる政治家がパフォーマンスにしか見えなくてムカつきます。
中国の人が日本は好戦的だと思っているのは事実だと感じています.仲のよい中国人の友人に「日本人は戦争が好きでしょ?」といわれ,当時中国人の日本観をよく知らなかった私はびっくりしたことがあります.
一方で,Tさんのように,日本人は戦争の被害者は国民であって,あくまで悪いのは当時の上層部だと思っているひとが多く(私もその一人),この点で中国人との認識のズレがあるなと感じています.
いずれにせよ,残念なのは,政治や過去の歴史のことが日本人・中国人の個人的な関係にまで影響を及ぼすことが多いことです.
国際的な舞台では毅然とした態度やはっきりした主張をするのも大事でしょうが,共通の認識を持つことが困難な状況においては,時には妥協しながら上手に関係を築く努力を小泉さん他政治家の皆さんにはしてほしいと思います.
いつもコメント&トラバありがとうございます。
中国より情報の種類が多いはずの日本でも、最近はすりこみ現象があるようで心配な限りです。
>worldwalkerさま
記事と関係ないですが、ここ数日パソコンが本格的にダウンして、マザーボード修理してWindows入れ替えたら日本語が打てない(なんで?)という状況に陥り、回復に3日と180元がかかりました。worldwalkerさんに来てきただきたかったです。
>chiruruさま
おじいさまのように、従軍経験のある方で精神的つらさから沈黙を守ったままの方はたくさんいらっしゃるのでしょうね。私自身は祖父母が早くに亡くなってしまったこともあり、戦争の話を体験者から直接聞くのは多分はじめてでした。貴重な機会だったと思います。
自分がもしも騙されて命を落としそうになったとしたら、後でどんな感謝の言葉でねぎらわれようともその怒りはおさまらないと思います。60年たった今、戦没者への参拝が政治的駆け引きの道具になってしまっている状態は、亡くなったお友達のことを考えるとやりきれない気持ちなのではないでしょうか。
>あささま
いただいたコメント、まったく同感です。外交とか、国内政治の中でいろんな駆け引きがあって負けるわけにはいかないのは当然ですが、人間として使っていいカードといけないカードがあると思います。中国や国内の反対派に屈するわけにはいかないから参拝するという思考回路は正直理解できないです。
実際に従軍経験がある人のうち一番若い人が、現在ちょうどTさんぐらいの年齢になっているわけで、既にメディアなどで積極的に意見を発表する場があるはずもなく、彼らが参拝に対してどう思うかという議論が(私の知っている限りでは)すっぽり抜け落ちていると思います。中国に対して真実が伝わっていないという以前に、日本国内でも情報は実は大変偏っていると思います。
>matさま
はじめまして!私も仲のいい友人に「中国人が領土問題等に対して敏感なのは、日本がまた攻めてくるんじゃないかと心配だから」と聞いてびっくりしたことがあります。
ただ、多くの中国人が当時の日本国民が皆好きで戦争していたかのように勘違いしているのと同じく、現在の日本人でも中国政府と国民を一緒くたにして、中国人=ずる賢く得体の知れない人々、と思っている人がいるような話を聞くことがあって、勘違いはお互いさまなのか、と残念です。
再インストールたいへんでしょう。